MIMAMORI

PROJECT STORY「MIMAMORI」

MIMAMORI

IoTの進展、ビッグデータやAIなど、企業のデジタルトランスフォーメーションを担う先端IT技術の発展が著しい現代。自動車業界もまた大きな変革を迎えている。ISUZUは2004年、業界に先駆けて車両運行データを通信網を利用して送信し、クラウドシステムで分析する「MIMAMORI」サービスの提供を開始し、運送会社の業務効率化を図る革新的なサービスとなった。蓄積してきた車両情報のビッグデータを利活用したIoTサービスとしてMIMAMORIは今、新たなフェーズへと突入している。その未来を担う3名にMIMAMORIのこれからを語ってもらう。

MEMBER

  • 荒木 裕行

    荒木 裕行Hironori Araki

    コネクテッドシステム開発部
    稼働保証技術グループ
    2004年入社

    入社以来PT電子制御開発部でエンジンの電子制御技術に携わり、並行してMIMAMORIデータを活用した開発に携わる。現在、コネクテッドシステム開発部で稼働保証業務を担い、お客様のダウンタイム軽減を目的にデータから部品のコンディションを把握し、定期的な入庫タイミングに合わせた適正なメンテナンスを提案するコンテンツ開発に取り組んでいる。MIMAMORIデータを元に部品故障予測技術の開発と故障原因をデータから解析し開発にフィードバックする役割を担う。

  • 木村 圭介

    木村 圭介Keisuke Kimura

    稼働サポート推進部
    2006年入社

    入社以来、一貫してMIMAMORIのサービスの企画運営を担当。蓄積された車両データをもとに、MIMAMORIが従来提供してきた運行管理支援や業務効率化に加え、新しい付加価値を生み出すために、ニーズ調査から、企画、webシステム構築、販売会社への説明まで関わる。車両データから取得できる情報を仮説立て、さまざまな関係者と協議しながらMIMAMORIのサービスアップデートを図っている。

  • 末貞 貴弘

    末貞 貴弘Takahiro Suesada

    コネクテッドシステム開発部
    装置設計グループ
    2011年入社

    入社以来、MIMAMORIなどのテレマティクス分野に携わる。多岐にわたる車両電子制御機器から送られてくる情報を集約しサーバへ送信する機能やサーバからの情報を車両側へ配信する機能を持つ、サーバと車両を遠隔で繋ぐための車載機開発を担う。車載機の歴史は長いが、小型化・大容量化・常時接続化・クラウド化など、技術の発展に伴い、常にアップデートし続けている。

お客さまに寄り添う姿勢が
IoT技術の進化への礎となる

末貞MIMAMORIを取り巻く環境は、この10年で急激に変化してきました。私が入社した2011年当時は、IT革命が進み始めた頃で、データの利活用についても、これから注力するテクノロジー分野という位置づけだったと思います。

荒木そういう意味では、ISUZUは一歩リードしていたと言えますね。2004年から車両運行データの記録と提供を開始し、そこから膨大なデータを蓄積できていましたからね。

木村蓄積してきたデータは、今でこそISUZUの競争優位性となる資源ですが、元をたどればお客さまに寄り添うISUZUのスタンスの結晶と言えるものですね。
当初は運送会社が法律で義務付けられている車両運行データの記録をサポートするものでしたが、オンライン上でリアルタイムに稼働情報を管理するサービスへと発展させていきました。開発して終わりではなく、お客さまの声をもとに、さらなる機能向上や拡張を図ってきました。

末貞それは、今のMIMAMORI開発にも変わらず受け継がれている姿勢ですよね。技術ありきの開発ではなく、ニーズを先取りして、何があればよりお客さまにとって最適なのかという考えで開発している。そしてIoT環境の変化にともなって、3Gから4G、今後は5Gに…。私が携わる車載機の開発も進化し続けていかなければならない状況です。

荒木「技術環境が進化したから開発しなければ」と後手に回っていないことは、ISUZUの強みですよね。トラックの開発は、電子制御技術の進化とともに、記録されるデータも多様化・複雑化しています。ISUZUには蓄積してきた豊富なデータがあり、解析することで次への打ち手の精度があがります。例えば、問題が起こった際に制御データを集めることから始めるのではなく、すでにあるデータを元に仮説検証できる。その分、携わる人たちの幅が増え、大変ではありますが(笑)

木村大変だからこそ、やりがいも大きいですよね。現在のMIMAMORIの土台を築いてきた先人たちの努力を資源として、新しい価値の創造に向かうことができますし。

末貞この領域のパイオニアであるISUZUが、「また新たな技術を開発した」と世の中を驚かせる気概で臨まなければ、進化はありませんよね。

MIMAMORI

目指すのは路上故障0
ISUZUへの信頼をより強固なものに

木村MIMAMORIのこれからの発展を語る上で、高度純正整備「PREISM」との連動は欠かせません。運送会社にとって、トラックが故障や急なメンテナンスのために稼働できないダウンタイムが生まれることは、事業活動に大きな影響を与えてしまいます。そこでMIMAMORIで入手した車両コンディション情報から、故障の予兆を検知できればダウンタイムを減らせるのではという発想から開発したものでした。

荒木実際に開発を進めるにあたって、膨大にあるデータから故障の予兆を検知するデータを探すことは難しかったです。“故障した”ということを示すデータではなく、“いつ壊れる可能性があるか”というデータなので、さらにハードルが高い。

末貞車載機を開発する立場として、そういった背景がある分、どんなデータを取得したいかを装置開発担当と綿密にすり合わせしました。一台のトラックには多くの電子制御装置が組み込まれているため、記録するデータの量も膨大になります。ただデータを取得すれば良いというわけではなく、記録したデータを効率よくサーバに送る方法など、クリアすべき課題は山積みでした。

木村課題が多くあった中で前進できたのは、開発に携わるすべての人たちがプロフェッショナル意識を持っていたからだと感じます。妥協案を探すのではなく、常に「どうすれば理想を実現できるのか」に議論を尽くしましたから。

荒木実際に試してみると思いどおりにいかないことはたくさんありましたが、トライしなければ前進できないという気概を持って臨みましたね。

末貞加えて言えば、目先の目標をクリアすることに目が行ってなかったと思います。故障の予兆データの取得にしても、ただ「故障する可能性がある状態」というデータを取得するのではなく、どんな状況でそれが起こり得るのか、あらゆる可能性を考慮に入れて必要なデータを検討する。さまざまな関係者と関わる中で、この姿勢を凄く感じました。

木村そのとおりだと思います。実現が容易な故障の予兆だけでなく、あらゆる路上故障をゼロにするという気概があったと思います。

荒木今振り返ると、自分たちでハードルを上げていましたね(笑)。

末貞でも、その場しのぎで完成させ後で直すのと、最初からドンっとやり抜いて、後でフレシキブルに機能をアップデートしていくのとでは、圧倒的に進化させるスピードが変わりますしね。

MIMAMORI

よりオープンにスピード感をもって
商用車の未来を変えていく

末貞今、自動車業界の今後を左右するキーワードであるCASEに代表されるように、100年に一度の大変革期を迎え、進化のスピードが非常に早くなっているなと感じます。今後、MIMAMORIとコネクテッドカーとの連携など、チャレンジしなければならないことが数多くありますよね。

木村そうですね。お客さまからのニーズは多様化、高度化しています。例えばトラック業界のドライバー不足など、すでに表出している課題の解決にも向き合っていなかなければなりません。ソフト面からニーズや課題の解決を率先していかなければならないと思いますし、貢献できる可能性も大きいですよね。

荒木お客さま個社ごとで異なるサービスニーズをどこまで最適化できるかという点も重要ですよね。トラックは利用するお客さまの業態や利用状況によって、一概にひとつの機能を満たせば事足りるというものでもありません。そのためにも、多くのデータを解析し、今以上に精度の高い開発をしていかなければなりません。

木村実現するスピードも重要ですよね。MIMAMORIの開発によって、ISUZUはIoT領域でパイオニアとして実績を上げてきましたが、これからはアイデアや技術を持つ企業との連携も増えていくのではないでしょうか。

末貞最近、部内でも「競争領域」と「協調領域」を明確にしていくという話題が多くなりました。

木村完成車メーカー以外の企業参入が増えてきている中で、協調領域の可能性は広がっていますね。

荒木開発現場だけに留まっていると、気づかない間に商用車メーカー一色の考えに染まってしまうのではと危惧しています。既成概念を外して、どれだけ柔軟に考えられるかを常に意識していたいというか。

末貞会社自体もそうですよね。社員の新しいアイデアを積極的に採用し、実現に向けて動ける環境なので、楽はできないなって(笑)

木村トラックって、もしかしたらエンジン一筋みたいなイメージを持たれてしまうかもしれないですが、IoTやコネクテッド技術との親和性が高く、最先端の技術に触れられるのは、大きな醍醐味ではないかと思っています。

IoTサービスの追求によって、新しい価値を創造していく。可能性が広がり続けていくからこそ開発現場には一切の妥協がない。近い将来、ISUZUの事業の柱へと成長を遂げ、その先に、ISUZUが牽引する未来の商用車へと繋がる可能性を秘めている。

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